身体的に負荷がかかる作業の多い職場で、従業員満足度を向上しながら、持続可能で安全な労働環境を構築するにはどうすればいいのか? 頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。
今回は、マッスルスーツを導入して、業務の負荷軽減に大きな効果を感じたという事例を紹介します。
関東1都5県でスーパーマーケット188店舗を展開する株式会社カスミ・フードスクエアカスミ学園店で店長を務める真中健介さんとグロサリーチルド担当の神田哲治さんにお話を伺いました。(以下、敬称略)
▼ご利用中のマッスルスーツ:ソフトフィットMLサイズ
小売業は『つらい・きつい』が当たり前、じゃない。現場の声から進んだ業務改善の実現【 株式会社カスミ】
職場環境の改善に何ができる? 導入のきっかけは、ダウンタウンの浜田さん
――マッスルスーツを知ったきっかけはなんでしょうか?
真中 弊社は業務改革改善活動の一環として、従業員の安全衛生や負荷軽減をかかげています。当社では、安全衛生委員会の中で、現場の従業員負担を改善していきたいという声があがりました。メンバーの一人がインターネットで調べていると、ダウンタウンの浜田雅功さんが怪獣をやっつけているイノフィスさんの動画に出会い、農作業や介護施設でこのマッスルスーツが活用されているのを知り、スーパーマーケットでも使えないかと会社に相談したのです。現場の声から今回の導入はスタートしました。
――これまでは負荷軽減や職場環境改善のために工夫はされていましたか?
真中 重たいものはひざを曲げて腰に負担がかからないようになど教育はされていますが、器具や道具を使った改善実績はありませんでした。腰や肉体的負担に対しての明確な解決策というのはなかったですね。
――小売業では腰痛持ちの方が多いのでしょうか。
真中 スーパーマーケットの労災には、腰痛が多いと言われています。弊社にも大なり小なりの腰痛持ちの従業員がいます。しかし、腰痛は日常生活で起きたのか業務で起きたのか判断がつきにくい。そのため労災認定されにくいケガになります。仕事でなっている可能性があるなら、少しでも負担を減らしたいと思いました。
神田 私はこの業界に入って3年ですが、20年以上の腰痛持ちでコルセットをしています。しかし、コルセットは限定的な効果と言いますか、荷物を持つときにやはり腰が痛かったりします。そのためより作業負担を軽減したり、職場環境を改善できるものはないかと考えていました。
――導入にあたり、現場の方からどのような提案をされたのでしょうか?
真中 弊社では、お客様はもちろん、従業員に対して働きやすい労働環境を整備することも大事にしています。そういう会社の考えもあって、まずは1週間試しに使って、その効果を報告しようと。実際に試用したら大きな効果を感じられた。あと、やはりCMがよかったですね(笑)
マッスルスーツ導入で荷下ろしの負担軽減で大きな効果
マッスルスーツのトライアル導入時に作成されたレポート。お試しされたスタッフのみなさんの評価が具体的に数字で記載されている。
――具体的な効果についてもお聞きします。スーパーマーケットで腰に負担がかかる作業はどのようなものですか?
真中 当店は1日5万点売上点数のある店舗のため、納品される品数も大量です。たとえば、牛乳1ケースは、1本1リットル12本入っています。これを当店では1日で100ケース下ろします。また同時に野菜も納品され、玉ねぎやじゃがいもなどは1箱20キロあります。飲料も2リットル6本入りのケースを、100ケースは品出しのため仕分けます。
――荷下ろしを1日で数百回も繰り返すというのは、すごい重労働ですね。マッスルスーツをお試しいただいて、どのような変化がありましたか?
真中 10キロのケースを100〜200荷下ろしして仕分けるというのは一気にできる作業ではありません。途中で何度も休憩を入れて作業していきます。それが、マッスルスーツを導入以降は、休憩を入れずに継続してできるようになっていることに気づきました。これは作業効率という点からも、大きなインパクトがありました。
神田 装着して作業してみたら、すごく腰が楽。持ち上げるタイミングで腰への負担が軽減されているのが感じられます。ひさびさに腰痛持ちではない自分になった気分でした(笑)。試しに外した状態で作業してみると、さらに違いがわかりました。サポートしてくれていた感覚が残っているんですよね。
真中 もうひとつ筋肉ができたようなイメージだよね。
――私たちも“着る、筋肉。”と表現しているので、そのようなご感想はうれしい限りです。
神田 その効果を、当時マッスルスーツを使用していた社内の安全衛生委員会のメンバーが提案用の資料をまとめてくれたり、社内のFacebookグループに共有してくれたりしました。現状の課題から導入の必要性、導入後の負担軽減をグラフにまとめて、メリットだけではなく現場で使用する際の注意点も記載してくれました。(編注:上の画像が実際の提言資料)
真中 このレポートが決め手となり、2台を正式に導入することが決まりました。現場の声から新しい制度やツールが導入されるケースは珍しいのです。トライアルしてくれたチームメンバーたちが本当に効果を実感して、その必要性をしっかり上に伝えられたことで導入できたのだと思います。
職場環境の改善がお客様の利益につながる
――マッスルスーツの導入で、業務改善は進みそうですか?
真中 進んでいると思います。スーパーマーケットの仕事の半分以上は後方作業なんです。普段はお客様の目に見えていない作業が重労働で肉体的負担が大きくなります。その負担を減らし、従業員が安心安全な環境で作業をすることでみんなが幸せになると思います。
神田 “お客様に感謝します”“従業員に感謝します”“お取引先様にも感謝します”。お客様に喜んでもらうには、お店が明るくないとダメだと思っています。従業員に元気がないとお客様にも伝わってしまいます。後方で作業している我々から元気で、安全に働けることが大事です。また、職場全体での活用が進むよう、若い方には腰痛持ちになると辛いよと伝えて、いまのうちから使っていったほうがよい、とみんなで共通の認識を持ってもらえるように努めています。
――費用対効果の観点では、マッスルスーツ導入はいかがでしょうか?
真中 『マッスルスーツ』は、1台15万円、2台で30万円。42回の分割払いだったら、月々3,500円。1日100円ちょっとで、安心で安全な作業環境を整えられます。安い投資だと思います。裏方はやはり人の目がつきにくいので、今までスーパーマーケット業界は、こういった後方作業にメスを入れてこなかったんじゃないかと思います。現場から改善の声を上げる。従業員は仕事もあるが、家庭もある。腰の負担を軽減するための投資はするべきだと考えています。
今後はこの店舗の利用がモデルケースとなって、他店舗への導入も進むとよいな、と考えています。