兵庫県を拠点とする松本組は創業1900年、120年以上続く建設・土木事業を行う会社です。今回お話しを伺った土木部工事主任・松本さんは、今の建設・土木業では当たり前、と思われている固定概念を変えていきたいと、新しい取り組みを積極的に行っています。そんな活動の一環で、マッスルスーツも導入いただきました。
その改善活動の取り組みが認められ、過去には公共工事の品質をはかる「工事成績評定」で88点の高得点を獲得、そのときまとめた論文も国土交通省より優秀賞をもらったそう。今回はそんな松本さんに、マッスルスーツ導入の経緯やその効果について、お話しを聞きました。
▼ご利用中のマッスルスーツ:ソフトフィットMLサイズ
建設業界の変革者。「ラクしていいもん作る」マッスルスーツがサポートに【松本組】
高齢・若年技能者の作業を平準化するための、労働環境改善を
――さっそくですが、マッスルスーツを導入しようと思った経緯について教えてください。
建設業界は機械化・スマート施工を、国をあげて進めています。そんな背景もあって、自動化や省力化はかなり進んでいるところもありますが、私どもは自然の中でモノを作る性質上、どうしても人が現場に出てモノを運んだり、組み立てたりといった仕事はなくなりません。そういった人手の作業による業務負担を改善できたらな、というのがはじまりです。
特に弊社の場合、高齢技能者も多いのでこれからも長く働いてもらうための職場環境整備や、若年技能者の筋力不足で作業配置換え、つまり特定の人に作業負担がいってしまうなどの問題もありました。ここをマッスルスーツを活用して作業平準化できないか?というのが具体的に実現したかったところです。
――実際に人がしなければならないつらい作業だと、どのようなものがありますか?
たとえば最近までの工事ですと、20kgほどの石をケースに詰める作業がありました。これを長い時だと1日6時間、約3カ月の間この作業が続きました。それ以外にも50kgほどあるコンクリートの型枠を持ち上げるなど、まだまだ職場改善や作業負担軽減の余地が多い業界と言えます。
アシストスーツを徹底比較して点数化。一番建設現場にフィットするのは?
――マッスルスーツのことは、いつ、どこで知りましたか?
3~4年前からアシストスーツというものがある、というのは知っていました。ただそのころはまだまだ高価で大がかりなものが多く、現場で手軽に使えるものではない、と断念しました。以降も常々何か作業をサポートしてくれるものがないかとアンテナを張っていたところ、ちょうど発売当初のマッスルスーツEveryがヒットしました。
改めて他社製品も含めて機能やメリットを点数化・徹底比較し、比較表の中で一番高い評価となったのがマッスルスーツです。手ごろな価格になっていたこと・電力不使用・本体重量(軽さ)の点で群を抜いて優れていたことから導入しました。
松本さんが作成したアシストスーツ各社の比較表。マッスルスーツが総合評価19点でダントツ1位に。
――やはり価格の部分は大きかった?
はい、以前調べていた時アシストスーツというものがどんな価格帯で売られているものか知っていたので、手の届く値段になったというのは導入のハードルをかなり下げてくれました。また、テレビで取り上げられているのもよく見ていたので、会社自体も問題ない、安心して買えるかな、というのは判断材料になりました。
改善活動が認められ、工事成績表定点88点
――はじめて装着された感想は?
今までいろいろなアシストスーツを試してきましたが、シンプルで装着しやすい点が一番好印象でした。ポンプで空気を送り込む量で強さを調節できるといった、直感的な操作性もありがたかったです。
――電気を使わないという点はメリットになりますか?
もちろん。電気やコンプレッサーとつなげるつくりだと、どうしても足元で線がつきまとう。そうなると、土木作業だとなかなか思うように使えるシチュエーションがありません。また、山間部での作業になると、発電機がないと使用できないといったことはマッスルスーツの場合はないので、これも我々の現場ではメリットです。
――実際現場で使用されているスタッフからのお声を教えていただけますか?
作業中にぎっくり腰をやってしまった23歳の従業員がいるのですが、マッスルスーツを使って作業すると腰が守られている感じがして、重作業にあたるときの不安が軽減されたという声がありました。不安感が軽減されるので、作業にも効率的にあたれると。
――現場での活用度合いはいかがでしょう?
まだまだ道半ばというところでしょうか。高齢の技能者の腰痛問題や、若年技能者の筋力不足による配置換えの問題は一定解消できたと感じてはいますが、やはり身体を守るものだと言われても今までのやり方でやりたいという人もいるので。
――導入してよかったなと思う点はどこでしょうか?
現場運営をする立場なので、安全に、早く、いいものを作ってお客様にお届けするのが私の使命です。その中でも、従業員やパートナーさんが安全に作業できるという環境づくりも私の仕事。私、新しいものが好きなんで、こういった新技術を使っていろいろ解決していけるのはうれしいし、よかったと思う点ですね。
それから昨年行った工事で、マッスルスーツ含む現場の改善の取り組みが認められ、公共工事の品質をはかる「工事成績評定」で88点の高得点を獲得できました。建築・土木業界では、この点数が高いほど会社の評価が高くなる=仕事が取りやすくなります。平均80点前後と言われる中で、88点はかなりの高得点になるので、そういった面でもよかったと言えるかと思います。
新しいものはどんどん取り入れる。賢く、いいもん作るのがこれからの建設業界
――最後に、今後マッスルスーツ含め新しい技術を活用して、こんなふうにしていけたらいいなと思うことを教えてください。
みんながみんなマッスルスーツを使って仕事をするようなことはないとは思いますが、補助してくれたらいいなと思うシーンは建設業だと常にありますし、人の手が入る部分が完全になくなるということはこの業界では不可能だと思っています。なので、この製品も含め新しいものをどんどん取り入れて、人に負荷のかかるようなつらい作業を軽減させて、働き方の改革を進めていきたいんです。
――業界の、なんとなく重作業が多いというイメージも変えていけるといいですね!
重たいものをムリして持つのが建設業ではないんだよ、と。重たいものを生身の身体でたくさん持つ人が「おまえ、なかなかやるなぁ!」みたいに一目置かれるような、昔ながらの風潮はなくしたほうがいいと思っていて。
業界イメージとしてそう見られてしまう部分はあるかもしれませんが、実際はインドアな人でも仕事はできるし、今は少ないですが女性だって増えていくでしょう。こういった新しいものを積極的にどんどんとりいれて、ラクして、工期短くして、賢くいいもんつくりましょうよ、というマインドに変えていきたいと思っています。建設業界としてそういうPRもどんどんしていきたいし、風潮も作っていくことが、今後の目標でしょうか。
――ありがとうございました!