ラクな作業が生産寿命をのばす!中腰などの“不良姿勢”の農作業にも効果を発揮【いちご農家 澤地様】

作業をするいちご農家の澤地さん

平成30年度神奈川県いちご品評会「立毛の部」において農林水産大臣賞を受賞した「澤地農園」。80年の歴史を持つ同農園は、3代目の澤地正典さんと妻の房枝さん、そして息子の正さんの3人が家族経営で営む個人農家です。

多くの葉菜や根菜と比べると、いちごの収穫では重いケースを運ぶような力仕事のイメージはないかもしれません。しかし、澤地農園では土耕栽培にこだわり、収穫には台車を押しながら常に中腰姿勢で摘み取り作業が行われます。いちごの収穫は11月から6月のはじめまで、朝からおよそ3時間も中腰姿勢での作業が続くことから腰の疲労は蓄積され、澤地さん農家を悩ます腰痛の原因になっていました。

この問題を解決するために、マッスルスーツを導入したという澤地さん。マッスルスーツのメリットや、実際に作業はどのように変わったのか、伺いました。

装着や使い方はシンプル。収穫時の前かがみ作業で活躍

マッスルスーツを装着した澤地さん

―― マッスルスーツを導入された経緯を教えてください。

昨年の4月くらいに県の農業普及センターから「澤地さん、試験的にやってみない?」と紹介されて、トライアルで使い始めたのがきっかけになります。

いちごの場合、栽培方法がいろいろあって、高設栽培って言って地面から1メートルくらいの高いところで栽培する方法もあるんです。ただ、うちの場合土耕栽培という土を使って栽培する方法。なので、どうしても収穫の時(いちご苗の高さが低いので)前かがみになってすることが多いので腰に負担がかかるんです。だから、収穫のときはずっと中腰。

マッスルスーツを導入するまでは、腰や体に対して特に何の対策もしていなかったので、収穫でつらいときは地面に膝をついたり、腰を落としたりして、なるべく負担がかからない姿勢でやっていました。でも、そうすると今度は膝を痛めたり、仕事がやりづらくなったり……。試行錯誤しつつも、結局は我慢しながら作業を続けるしかありませんでした。そうしたときにマッスルスーツを紹介されたので、すぐに試してみようと思いました。

―― マッスルスーツを初めて着用したときの第一印象を教えてください。

なんだかロボットみたいだなって(笑)。はじめはちょっと重さを感じたけれど、使い続けてるうちにそこは気にならなくなったし、背負ってしまえばそれほど負担は感じなくなってきました。装着も簡単。リュックサックのように背負ったら、2箇所止めて足パットつけて、あとは空気入れるだけなので、数十秒もあれば準備できます。

―― 現在実際どんな場面で使っていらっしゃいますか?

メインは収穫のとき。さっきもお話した通り、土耕栽培なので収穫中3時間くらいは中腰でずっと作業が続くんですね。そのときに一番活用しています。そのほかだと定植作業。だいたい1日10時間ぐらいは前かがみでやる仕事。収穫と違って2日ぐらいかけてまとめてやる作業なので期間としては短いけど、この2日間腰曲げっぱなし。後は種まき。腰を曲げたり前かがみの作業にはほとんど使っています。

―― マッスルスーツを使用するようになって、体の負担は変わりましたか?

やっぱり全然違いますね、作業が終わったあと体がまったく痛くないし。これは、使いはじめてすぐに実感できた効果です。『今日はなんか腰が疲れるな……』と思ったら、その日はうっかりマッスルスーツを忘れていた、ということもあったほど(笑)。

―― 体への負担が楽になったこと以外に、何かいい影響はありましたか?

体が楽になったことによって仕事以外の時間も楽になったことかな。腰の負担って、たとえば整体とか病院に行ってその時は楽になったとしても仕事は毎日続くからね。また同じ負担が体に来れば、つらくなってしまいます。

マッスルスーツ使うようになって、人より仕事ができるようになった(から勧めたい)ということはないけれども、とにかく楽になるんだからみんなもつければいいじゃんって思うよね。つらいまま仕事をする必要ないんだから。その人のやり方を変えてまで使った方がいいよとは思わないけれど、私と同じように前かがみ作業でつらいって人には使った方がいいと勧めたいです。

マッスルスーツに空気を入れる

―― 使い勝手については、どうでしょうか?

空気を入れるだけで使える、とてもシンプルな構造がいいですね。空気量でサポート力を柔軟に調整できることも便利だなと感じています。たとえば腰に負担が大きい作業では少し多めに空気を入れてアシスト力を高めたり、少しサポートがあれば十分ってときは動きやすさ重視で空気量を少なく調整したり。

―― お話をお伺いしていると、いちご栽培はほかの農作物と比べて、腰に負担がかかる作業が比較的多いように感じました。

そうですね。どの作物でも同じですが、農作業には機械でカバーできる作業と、人の手でやらなければならない仕事があります。そういう意味では、いちご栽培は人のところが多い作物だといえるかもしれません。植える向きや深さを調整したり、人間の知識や経験、技術的なものが必要な作物で、ただ植えればいいというものではないんですね。

腰への負担だけでなく心の負担もラクに

澤地さん夫婦

―― ほかの農家の方にも、マッスルスーツはお勧めできますか?

もちろん。機械や道具が使えるものだったらどんどん使ったほうがいいと僕は思っています。マッスルスーツのいいところは、自動化など大規模な機器を入れて効率化を図る以外の部分、どうしても人でやらないといけないことがあるじゃないですか。そういう作業にとても向いているし、使いやすいなと思っているんですね。

―― 農家の方には、歳は重ねてからも現役でお仕事をされている方が多いので、多くの方にぜひ使ってほしいですね。

そうですね。農家には腰が曲がっていても本当によく働くおじいちゃん、おばあちゃんが多いから。個人的には、若いうちからどんどん使ってほしいですね。農業は腰を曲げて前かがみになって行う作業が多いので、知らず知らずのうちに腰に負担が蓄積されて曲がってしまいがちなんだと思いますが、でもやっぱり、いつまでも腰がピっと伸びていたほうがかっこいいじゃない(笑)。

―― マッスルスーツを導入し腰の負担が軽減されたことによって、農家の就業年齢は伸びる、ということはありそうですか?

それはわからないよね、最終的には体動かないのにやる人はいないだろうから。それよりも、マッスルスーツを使う一番(のメリット)は日々の気持ちが楽になることだと思います。これをつければ腰が痛くならないなって思うだけで、仕事に対する気持ちが違ってくるんです。仕事が始まる前にこれから仕事体が痛くてやだなー、って思うんではなく、今日も楽にできるぞって思うだけで精神的に(仕事への)取り組み方が違ってきますしね。これは私自身、実感している変化のひとつでもあって、今ではマッスルスーツは作業を行う上で必需品になっています。

―― 最後にマッスルスーツに今後、期待することがありましたら教えてください。

いちごだけではなく、米や野菜なども作っているので、とにかく腰に負担のかかるすべての作業で使ってみようと考えています。疲れを忘れてついついがんばりすぎてしまうので、その点は注意しなければいけませんが(笑)、私も妻も腰が楽になったことはたしかなので本当に感謝しています。なにより健康でいることが農家としてはとても大事なので、長く仕事を続けていくためにも、マッスルスーツはこれからもずっと使っていきたいですね。

あと今は1台をおもに私が使用していますが、マッスルスーツはワンサイズではなく、S-MとM-Lの大小ふたつのサイズがあるので、これまでは少し大きめのものを使ってもらっていた妻と息子の分としてそれぞれにフィットするサイズを用意して、家族全員のサポートができるようにしていきたいなと思っています。

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