【イベントレポート】アシストスーツ限定展示会「アシストスーツサミット」開催

左から:アルケリス株式会社代表取締役社長・藤澤、株式会社イノフィス代表取締役社長・折原、アルケリス株式会社取締役COO・飯田、株式会社加地取締役・塩谷、株式会社ダイドー代表取締役社長・追田、日本シグマックス株式会社ウェルネス事業部・大島

昨今、人手不足や高齢化が深刻な社会課題として顕在化しているなか、作業時間の短縮や業務効率化、高齢者・女性の就労支援に繋がる一助として、アシストスーツ市場の拡大が期待されています。

そのような背景から、アシストスーツを手掛ける4社(株式会社イノフィス、アルケリス株式会社、株式会社加地、株式会社ダイドー)は、アシストスーツの認知度向上と市場形成を加速させるため、任意団体「アシストスーツ協会」を設立しました。その設立を記念し「アシストスーツサミット」を開催。 本記事では、80名を超える企業担当・報道関係者が参加された当日の様子をお届けします。

アシストスーツ市場拡大のため、メーカーが協力体制を構築

当日は、10:30~18:00の間、アシストスーツ協会加盟4社および参画企業1社、合計5社のアシストスーツ展示体験会を実施。
製造業を中心に様々な業界の企業担当者や、テレビ局・新聞などの報道関係者も出席し、約80名の方々にご来場いただきました。

会の途中では、アシストスーツ導入支援を行う理学療法士・逢坂大輔氏の講演や、アシストスーツ協会代表理事の飯田成晃氏から協会発足のご挨拶、導入体験者のパネルディスカッションを行いました。

「腰痛による社会的経済損失が問題視されている」理学療法士の講演内容

理学療法士・作業療法士:逢坂大輔(おおさかだいすけ 株式会社シーエフロボタス )

講演は「理学療法士に学ぶ、アシストスーツを活用した労働災害予防」と題し、理学療法士・作業管理士の逢坂大輔氏が登壇。労働災害の現状や予防と対策方法、労働災害の観点から見たアシストスーツの役目などをお話いただきました。

労働災害の原因として最も多いのが転倒・転落ですが、その次に多いのが「動作の反動・無理な動作の反復」によって起こる事故です。これらにより足痛、腰痛、肩痛といった労災が発生します。労災を減らすには、職場の設備や暑さ・寒さ、人員体制などの作業環境を改善するのが最短ルートになります。
アシストスーツは、
①アシスト:身体を助ける
②リスク回避:身体を守る
③効率アップ:作業がはかどる  
という主に3つの役割があります。作業負荷が軽減することで、疲れを残さない働き方ができる、筋骨格系の傷害リスクを減らせる、疲れにくいため作業がはかどるという効果が期待できます。
腰痛に関してお話すると、腰痛が遷延化することによる社会経済的損失が問題視されています。治療を重ねることによる医療費の増加、労災による労働生産性の低下、離職・休職などの就労障害による社会損失などがあります。
社会的観点からも、労働安全衛生の観点からも、身体に負担のかかる作業を行う現場ではアシストスーツの活用が必要です。

アシストスーツの選び方は業種ではなく作業で選ぶのがおすすめです。
持ち上げ作業であれば腰用、立ち作業であれば足用、手を上げる作業であれば腕用という風に、どの作業負荷を軽減すべきかで商品を選びましょう。

アシストスーツ協会代表「業界全体を盛り上げるため、自らチャンスを掴むための行動を起こす」

アシストスーツ協会代表理事:飯田成晃(いいだなるあき アルケリス株式会社 取締役COO)

講演後、アシストスーツ協会代表理事の飯田成晃氏より発足のご挨拶がありました。

アシストスーツ協会を2022年11月11日に設立しました。
私たちは以前から展示会等で顔を合わせる機会が多く、「もっとアシストスーツを世の中に広めていくためにはどうしていくべきか」ということをずっとお話していました。その最中に新型コロナウイルス感染症の拡大があり、展示会等で多くの方にアシストスーツを触れていただく機会が少なくなり、非常に苦しい思いをしました。

しかし、最近は展示会の開催も増え、今が力をあわせて取り組むチャンスではないかと思い、私から皆様にお声がけをして設立に至りました。
近年、日本でもアシストスーツの普及が少しずつ進み、アシストスーツ業界も0から1に進むことはできたと思います。しかし、今後さらに普及を進めていくためには、1を10に100にしていく必要があります。その思いを込めて、設立日を1並びの11月11日としました。

苦しい状況に負けず、アシストスーツ協会自らがチャンスを掴むための行動を起こし、業界全体を盛り上げていきたいと考えています。

「導入してから腰痛が原因で離職した職員は0」介護施設の導入経験をご紹介

左から、ファシリテーターの逢坂氏、砧ホーム 施設長の鈴木様、ぶどう農家の島軒様

午後は、「アシストスーツ導入経験者に聞く!”アシストスーツの現場導入のポイント”」と題し、パネルディスカッションを開催しました。

導入経験者として、社会福祉法人友愛十字会 砧ホーム 施設長の鈴木健太様と、山形県でぶどう農家を営む島軒正陽様が登壇。砧ホームでは株式会社イノフィスの「マッスルスーツEvery」を、ぶどう農家ではアルケリス株式会社の「アルケリス」と株式会社ダイドーの「TASK AR」を使用しています。
砧ホームの鈴木氏は「介護施設では、利用者さんは車いすやベッドなど低い位置にいらっしゃいます。職員は中腰でかがんでお世話や介護をするため、腰の負担が多い。
腰痛になると中腰姿勢の多い介護職を続けることが難しく、職業人生を左右する問題になります。そこでアシストスーツの導入を考え、電気不使用で取り付けやすく、使い勝手が良いマッスルスーツを、2017年4月に導入しました」と導入経緯についてお話されました。

利用者さんから“介護がうまくなったね”

導入の効果について、鈴木氏は「楽に仕事ができるようになったので、職員は腰への負担を気にすることなく利用者さんの事を一番に考えて丁寧な仕事ができるようになりました。利用者さんからは“介護がうまくなったね”とお褒めいただくこともあります。導入してから腰痛が原因で離職した職員は0です」とお話されました。

身体負担軽減だけでなく、サービスの質の向上や収入増などの相乗効果があったのが印象的でした。

最後に、アシストスーツ各社に期待することとして、「一番の懸念は価格なので、手ごろで使いやすい値段になってほしい。また、台数が多いとどれが自分のものかがわからなくなるので、例えばボタンをつけたりしてアレンジができるとより良い」とのご提案をいただきました。

この記事を友達に紹介する

キーワードで探す